脳の炎症を防いでうつ病改善

今回はうつの症状と脳の炎症がどのように関係してくるのかについて書いてみたいと思います。

 

うつの症状が起こってくる原因としては、一般的に職場や学校などにおける心理社会的ストレスが挙げられることが多いですが、それ以外に、脳に起きている「炎症」を疑ってみることも、うつの症状をやわらげていくためには、大切になってくると思われます。

 

では、「炎症」とはそもそも何でしょうか?

 

「炎症」とは、生体が傷害を受けた際に起こる反応のことで、簡単に言えば、体内で起きる火事のようなものです。その炎症とはからだにとっては異常事態であって、炎症が起きた体の部位は、腫れや痛み、発熱などが起こります。そしてそのからだで起きた炎症に対して、火消し役として対処するのは私たちの体内に備わっている免疫システムです。

 

そして、アメリカの神経科医のデイヴィッド・パールマター氏やジーン・カーパー氏は、脳の炎症や、炎症とうつとの関係性について言及しています。

 

 脳疾患も含めてすべての変性疾患を引き起こすのが「炎症」であることは、研究者たちにはかなり前から知られていた。そして研究者たちは、グルテン、さらに言えば高炭水化物の食事が脳に達する炎症反応の原因になっていることを見出しつつある。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p53

 

「脳の炎症」がパーキンソン病からさまざまな多発性硬化症、癲癇、自閉症、アルツハイマー病、うつ病にいたるまでのあらゆる病気とは、何ら関係がないと思ってしまいがちな理由の一つは、脳には体のほかの部分と違って、痛みを感じる受容体がないためだろう。つまり、脳の炎症を感じることができないのだ。(同 p60~61

 

 炎症は、徐々に脳の破壊を進行させ、脳卒中、むら気、精神分裂病、そしてアルツハイマー病などの神経変性症から、自然な老化での知能低下まで、広い範囲で脳の脅威となっていることが認識されるようになった。炎症が遅効性の神経毒のように働くことを知っていたら、炎症反応を点火させる燃料を、毎日の食事でせっせと補給したいなどとは、誰も思わないはずだ。オメガ6脂肪酸がまさにこの点火燃料になることは、一般にまだほとんど知られていない。しかし、オメガ6が極めて炎症を誘発しやすいことは、すでに科学的に立証されている。(ジーン・カーパー『奇跡の脳をつくる食事とサプリメント』丸本淑生訳 p89

『いつものパン」があなたを殺す』は脳の炎症について詳しい
『いつものパン」があなたを殺す』には脳の炎症について詳しく書かれています。

脳の炎症を引き起こすサラダ油・グルテン・糖質

 

では、脳が炎症を起こしてしまう原因は何でしょうか? 

 

たとえばジーンカーパー氏はサラダ油に多く含まれるオメガ6脂肪酸が炎症を引き起こす原因になるとしています。

 

 炎症は、徐々に脳の破壊を進行させ、脳卒中、むら気、精神分裂病、そしてアルツハイマー病などの神経変性症から、自然な老化での知能低下まで、広い範囲で脳の脅威となっていることが認識されるようになった。炎症が遅効性の神経毒のように働くことを知っていたら、炎症反応を点火させる燃料を、毎日の食事でせっせと補給したいなどとは、誰も思わないはずだ。オメガ6脂肪酸がまさにこの点火燃料になることは、一般にまだほとんど知られていない。しかし、オメガ6が極めて炎症を誘発しやすいことは、すでに科学的に立証されている。(ジーン・カーパー『奇跡の脳をつくる食事とサプリメント』丸本淑生訳 p89)

 

またデイヴィッド・パールマター氏が『「いつものパン」があなたを殺す』のなかで主に挙げているのは、たんぱく質の一種であるグルテンと糖質です。

 

 グルテンとは「膠」を意味するラテン語で、タンパク質の混合物だ。粘着性のある物質として作用し、クラッカーや焼き菓子、ピザ生地などのパン製品をつくるときに粉をまとめる。

(中略)

 多くのアメリカ人は小麦からこのグルテンを消費している。しかし、グルテンはライ麦、大麦、スペルト小麦、カムット小麦、ブルグア小麦などのさまざまな穀物にも含まれる。

(中略)

 どんなタンパク質でもアレルギーを引き起こすことがあるように、グルテンもアレルギー反応を生む可能性がある。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』 p78~79』

 

 思い出してほしいのは、実際にあらゆる不調や疾患の核心にあるのは「炎症」だということだ。炎症反応を引き起こすものを体内に取り入れると、さまざまな健康上のリスクにさらされる。これは頭痛や頭がモヤモヤするなどの慢性的な深いからうつ病やアルツハイマー病のような深刻な病気にいたるまでを指す。

 さらにいまや、グルテン過敏症と、何千年にもわたって医者たちも理解不能だった脳疾患(統合失調症、癲癇、双極性障害、うつ病、さらに最近の自閉症やADHDなど)との結びつきは証明されている。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p94

 

さらに、デイヴィッド・パールマター氏は「炭水化物は、たとえグルテンを含まないものであっても、過剰に摂取すると、グルテンたっぷりの食事と同じくらいダメージを受けてしまう」と述べ、「炭水化物」の摂り過ぎも問題視しており、けっして「グルテン」だけが悪役ではないとしています。

 

そして、普段の食事を変化させることが、心の健康を取り戻す可能性につながるということを、『「いつものパン」があなたを殺す』のなかではっきりと示しており、この辺りのことはうつの症状改善とも関係してくるように思います。

 

 私は、飲食物からグルテンを一切摂らず、炭水化物の代わりに脂肪を摂ることで生活や健康状態を一変させた人たちの研究もしている。

 このたった一つの食事の変化によって、うつ病が改善し、慢性疲労が回復し、二型糖尿病が快方に向かい、強迫的な行動に出なくなり、頭のモヤモヤから双極性障害(躁うつ病)にいたるまで多くの症状が治癒するのを目の当たりにしてきた。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p110

 

では具体的に食事をどのように変えていけば良いのかといえば、大切になってくるのは、食事のなかでの、

 

  • 糖質制限
  • 腸内環境の改善
  • 油の摂り方

 

です。特にオメガ3脂肪酸(DHA・EPA・α‐リノレン酸)には脳の炎症を抑える働きがあるとされていますので、普段の油の摂り方も、うつの症状を改善するためには重要な要素になってきます(より詳しくは、免疫力でうつ病改善のページをご覧ください)。